平成28年~現在 変革の時代を越えて OGUSU 100年企業への飛躍

四代目 小楠哲治 社長 四代目 小楠哲治 社長

第4代社長に小楠哲治が就任 新たに経営理念を掲げ「強い会社づくり」を誓う

創業72周年を迎えた平成30年、当社4代目社長に小楠哲治が就任した。 創業社長・小楠剛一、2代目・小楠倫嗣、3代目・小楠倶由と受け継がれてきた 経営の系譜は、ここに新たな章を刻むこととなった。就任にあたり全体朝礼の場で社員に向けて言葉を贈った。

「創業以来72年という長い間、様々な苦難や好機を経験しながら事業が継続していることは感慨深いものがあります。 歴代の社長それぞれが能力を最大限に発揮し、正しい道筋を描くことで時流に乗った経営を続けてこられたことが今日の当社を築く根幹となっており、 その手腕とセンスは尊敬と同時に私にとっての高い目標です」と先人への敬意を示すとともに、 OGUSUグループを永続的に成長できる強い企業にすることを使命の一つに掲げると宣言した。

自動車業界は100年に一度の変革期といわれ、世界的な自動車産業の電動化シフトが始まった。 内燃機関部品の需要縮小は現実の課題として当社の前に立ちはだかっていた。 「同じことを続けながら企業を永続的に成長させるには、よほど希少性のある技術を保有していなければ不可能」と危機意識を社員と共有した上で、 変化する市場に対応し続けることの重要性を訴えた。
こうした認識のもと、小楠哲治が就任にあたって掲げたのが以下の経営理念である。

経営理念

社会・企業・社員  関わりあるすべてのコミュニティにとって必要な会社になる
必要とされる会社は永続的に発展できる。
企業の発展は雇用を創出し、社会貢献ができる。

「必要とされること」をキーワードに据えたこの理念は、社是・社訓の精神を現代の言葉で結び直したものといえる。 さらに「察知して実行する。全員でこの2つをかみ合わせることで、私たちはとても大きな力が出せるはずです」と呼びかけ、やがて迎える創業100周年に向けて、社員とともに着実に前進していく意志を鮮明にした。

品質・環境・効率を追求した新工場の稼働で取引先の増産要請に対応

平成も終盤を迎え、農業機械・建設機械部品への需要が旺盛を極めるなか、当社は生産能力の抜本的な増強に踏み切った。 平成30年、本社に程近い浜松市馬郡町に馬郡東工場(1,550㎡)を稼働。 続く令和3年には同地に馬郡西工場(部品工場1,283㎡・熱処理工場2,023㎡の2棟構成)を新設し、国内4拠点目の工場として本格稼働を開始した。
馬郡西工場の建設にあたっては、製菓工場の跡地約8,000㎡を活用。長年ボトルネックとなっていた熱処理工程の能力をグループ全体で従来比1.7倍に引き上げることを主眼に置いた。 総投資額は15億円と、1回の投資額としては創業以来最大規模となった。

馬郡西熱処理工場「火入れ式」の様 ㈱クボタの木俣会長も参加された 馬郡西熱処理工場「火入れ式」の様子
㈱クボタの木俣会長も参加された
馬郡西熱処理工場は次世代熱処理工場として最新鋭の設備が採用された 馬郡西熱処理工場は次世代熱処理工場として最新鋭の設備が採用された

なかでも特筆すべきは熱処理工場の設備思想である。創業期、小楠剛一が独自に開発した液体浸炭焼入加熱炉に始まる当社の熱処理技術は、幾度もの進化を重ねてきた。 馬郡西工場の熱処理設備はすべて電気炉による全自動化を実現。 燃焼を伴わない電気炉の採用はカーボンニュートラルへの貢献にとどまらず、火気や有害ガスのリスクを排除することで作業環境の安全性を大幅に向上させた。 一般に安全性・作業環境に配慮した設備は生産性を犠牲にするケースが多いが、当社ではパージ室を追加した3室構成とすることで、安全性と生産性を高い次元で両立させる設備仕様を実現した。 さらに立体倉庫の採用による省スペース化、全自動搬送システムの導入による少人化も同時に達成し、品質・環境・効率のすべてにおいて 次世代の熱処理工場の姿を体現した。

さらに令和4年には新たなグループ会社として小楠部品工業株式会社を設立。 本社周辺にグループ会社と生産工場を集中させるという戦略的な配置により、部材・製品の移動距離が大幅に短縮され、長年の課題であった物流効率化がついに実現した。 取引先からの増産要請に迅速かつ柔軟に応えられる生産体制が、ここに整った。

新製品のCHIP REXには金属加工メーカーの切りくず処理のノウハウが結集された 新製品のCHIP REXには金属加工メーカーの切りくず処理のノウハウが結集された

「無いなら作る」「できないなら改善する」創業当初から受け継がれる精神で新たな自社製品を開発

製造現場の課題を自らの手で解決する―― その精神は創業当初から変わらない当社の根幹である。 OGUSUブランド第1号製品として生まれた渦流円形クーラントタンクOCS(Ogusu Coolant System)をはじめ、自社の製造ノウハウから生まれた自社製品は 着実にラインナップを広げてきた。 近年はさらに新たな2製品が加わり、OGUSUブランドの可能性を大きく押し広げている。

ひとつは、切りくず破砕・粉砕装置「CHIP REX(チップレックス)」である。 金属加工メーカーとして長年の現場経験を持つ当社が、生産性向上・コスト削減・作業環境の安全確保・環境への配慮という複数の課題に同時に応えるべく開発した。 独自開発のチップカッタと正逆双方向の回転破砕機構により、様々な形状の切りくずを容積比最大10分の1にまで減容。 コンパクト設計で既存ラインへの後付けも可能であり、インテリジェンス機能による省エネ運転と予防保全機能も備えた、まさに製造現場の痒いところに手が届く製品に仕上がった。

もうひとつは、磁性スラッジ搬送装置「GRAIN SHIFT(グレインシフト)」である。 研削工程で発生する磁性スラッジは粉状で重量が軽いことから、一般的な切削加工にて排出される切りくずのように、安価な搬送手段であるスパイラルスクリュを用いることが困難であった。 そこでUトラフに磁石を配置し、搬送斜度を調整する事により問題を解決した。 のちに特許を取得するこの方法により、横搬送、立ち上げ搬送をレイアウトに応じて柔軟に設置する事が可能になり、手作業による回収、運搬工数を削減する事に成功した。

また、ワンモータで最大21メートルの搬送が可能な省力設計により、資源の有効活用という面からもこれからの工場運営を強力に後押しできる補助インフラとしても活躍が期待されるものとなった。

「無いなら作る」。その言葉どおり、自社の課題を出発点に他社の工場をも変えていく製品を生み出し続ける当社の開発力は、創業から一貫して受け継がれてきた技術立社の精神そのものといえる。

異国の地でOGUSUの品質を
成長を続けるオグスタイランド

平成23年の操業開始以来、幾多の試練を乗り越えながら成長を続けてきたオグスタイランドは、直近10年でその存在感をさらに大きく高めた。 売上高は操業開始当初の83.8百万バーツから右肩上がりの成長を続け、ピーク時には1,098百万バーツを記録するまでに拡大した。

オグスタイランド 社員旅行の様子タイの従業員は1年に一度のイベントを楽しみにしている オグスタイランド 社員旅行の様子
タイの従業員は1年に一度のイベントを楽しみにしている
オグスタイランド全景(2026年現在)2022年に完成した第3工場は成長の後押しとなった オグスタイランド全景(2026年現在)
2022年に完成した第3工場は成長の後押しとなった

増産によって手狭となった生産体制を抜本的に強化すべく、令和4年に第3工場を建設。 既存取引先からの増産要請への対応はもとより、新規取引先の獲得にも積極的に取り組み、生産能力の増強と事業領域の拡大を同時に実現した。 新たな分野への参入や先進技術の導入、最新鋭の機械加工設備の整備など、常に未来を見据えた挑戦を重ねた結果、その売上規模は小楠金属工業所本社の半分に迫るまでに成長を遂げ、今やオグスタイランドはOGUSUグループの中でも最も重要な拠点の一つとして、グループ全体の競争力を支える存在となっている。

日本で培われた技術力と品質への誇りを異国の地で体現し続けるオグスタイランド。 変化を恐れず成長を追求するその姿勢は、アセアンという広大な市場を舞台に、さらなる飛躍へ向けた原動力となっていくことであろう。 篠原町の小さな工場から始まったOGUSUの技術と精神は、今やタイの地においても確かな信頼として根を張り、次の時代へと受け継がれていく。

新設された全自動ラインは汎用機をロボットで脱着させることで柔軟な設計変更にも対応する 新設された全自動ラインは汎用機をロボットで脱着させることで柔軟な設計変更にも対応する

ロボットと汎用設備が生み出す新発想 坪井工場に新設計全自動ラインが誕生

令和5年6月、坪井工場に新たなアルミナックル専用生産ラインが稼働を開始した。 取引先メーカーからの増産要請に応えるべく構築されたこのラインは、 月産24,000個という大量生産体制を実現するとともに、素材にアルミを採用することで部品の軽量化・低燃費化というメーカーの開発方針にも呼応するものである。

このラインが従来と大きく異なるのは、その設備構成の発想にある。 当社がこれまで大量生産ラインを構築する際には、特別設計の全自動専用機であるトランスファーマシンを採用してきた。 今回はその固定概念を打ち破り、汎用設備をベースとしながらワークの脱着をすべてロボットが担うことでINからOUTまでの全工程を全自動化することに成功した。 汎用設備を採用したことで、従来のトランスファーマシンでは対応が難しかった設計変更や機種切り替えにも柔軟に対応できるという大きなメリットも生まれた。 特別設計の専用機に頼らずとも、ロボットとの組み合わせ次第で高い生産性と自動化、そして将来の変化への適応力までも手に入れられることを証明した意義は大きい。 さらにカラー圧入工程においてはカメラによる鋳巣の自動検査を導入し、品質保証の面でも新たな一歩を踏み出した。
導入効果は現場のあらゆる面に及ぶ。全自動化による省人化はもちろん、手作業が排除されたことで作業者への負担が減り作業環境が大幅に改善された。 また休憩時間中も自動運転が継続されることで稼働率の向上にも大きく貢献している。 今回のラインで得られた知見と実績は、今後他の生産ラインへの協働ロボット導入推進の礎となり、当社のものづくりをさらなる高みへと引き上げていくことになる。

各部署に配属された高度外国人材は様々な力を発揮した 各部署に配属された高度外国人材は様々な力を発揮した

多様な知識と挑戦する力を持つ外国人留学生の採用で組織に新たな風を吹き込む

令和5年より、当社は静岡大学浜松キャンパスの大学院を修了した外国人留学生の採用を開始した。 背景にあるのは、国内における理系人材の採用難という切実な課題である。 当時、地域の外国人材支援団体からの紹介でインターンシップの受け入れを始めたことがきっかけとなり、 その実力と可能性を目の当たりにした当社は正式採用へと踏み切った。

現在ではインドネシア、スリランカ、ネパール、バングラデシュ、インドなど多彩な国籍を持つ留学生が在籍し、開発・設計から生産技術まで幅広い職種で活躍している。 彼らが持ち込んだのは単なる労働力ではない。 材料工学やプログラミング言語など、これまで当社に不足していた専門知識であり、自ら調べ、考え、成果を出すハングリー精神である。 その力は早くも実を結び、前述した自社開発製品であるチップクラッシャー「CHIP REX」や磁性スラッジ搬送装置「GRAIN SHIFT」の開発にも携わるなど、具体的な成果として結実している。 国籍や年齢、性別にこだわることなく、社是・社訓・経営理念に共感できる仲間とともに仕事をしていく――その言葉どおり、OGUSUは多様な人材が互いの強みを活かし合う組織へと着実に進化を続けている。

OGUSUHDを設立し経営資源の最適化と効率化を目指す

令和7年10月、グループの経営基盤をさらに強固なものとするため、持株会社として株式会社OGUSU HDを設立した。 グループ各社の統合管理を主目的としながらも、将来的な事業規模・事業範囲の拡大を視野に入れ、その推進母体となる窓口として発足させたものである。

OGUSUHDには管理部門を集約し意思決定を迅速化を目的とした OGUSUHDには管理部門を集約し意思決定の迅速化を目的とした

持株会社体制への移行がもたらすメリットは多岐にわたる。 これまで各グループ会社がそれぞれ担っていた経営判断や管理機能をOGUSU HDに集約することで、グループ全体の意思決定を迅速化し、経営資源の重複を排除することができる。 また、各事業会社はそれぞれの事業運営に専念できる環境が整い、グループ全体としての競争力と収益力の向上が期待される。 さらに将来的に新たな事業領域への参入や外部企業との連携・統合を図る際にも、持株会社という器が機動的な対応を可能にする。 事業規模・範囲の拡大を見据えた布石として、OGUSU HDの存在意義はますます大きくなっていくであろう。

これと前後して令和8年1月には、株式会社小楠金属工業所が小楠熱処理工業株式会社を吸収合併した。 株主構成の整理と事業体のスリム化により収益性の向上を図ることが主な目的であり、生産量の変化に柔軟に対応できる筋肉質な経営体制への転換を意図したものである。 熱処理部門はもともと当社の技術の根幹を担う工程であり、その機能を本体に統合することで、製造から熱処理までの一貫した品質管理と工程管理がより一層強化される。 管理コストの削減と意思決定のスピードアップという実利的な効果に加え、技術の継承と深化という観点からも、今回の合併は大きな意味を持つ。

100周年へのバトンは新たな世代へ受け継がれる 100周年へのバトンは新たな世代へ受け継がれる

創業80周年 OGUSUは変革の時代を越え、100年企業への道を歩む

昭和21年3月、創業社長・小楠剛一がミシンの部品製造を始めた日から80年。 令和8年、株式会社小楠金属工業所は創業80周年という大きな節目を迎えた。 戦後の焼け野原から立ち上がった4人の創業メンバーが、「身に付けた技術だけが財産」という信念のもとで刻んだ最初の一歩が、 今日のOGUSUグループという大きな樹へと成長を遂げたことは、当社の歴史が証明する誇るべき事実である。

80年という歳月は、決して平坦な道のりではなかった。 モータリゼーションの波に乗り、オイルショックや円高不況、リーマンショックといった幾多の試練を乗り越え、今日のOGUSUグループは国内外に複数の生産拠点を持つ企業グループへと成長した。 その礎を築いた創業メンバーの精神、そして世代を超えて受け継がれてきた「技術立社」の魂は、80年を経た今も当社の根幹に脈々と息づいている。

一方で、当社を取り巻く事業環境は今まさに大きな変革の渦中にある。 自動車産業の電動化シフト、グローバルな競争激化、エネルギーコストの上昇、そして国内での人材確保の難しさ――課題は山積している。小楠哲治社長は全体朝礼においてこう語った。 「今までと同じことを続けていくことが本当に難しくなっている。 しかし、結果に結びつかないことがあったとしても、それは失敗ではない。必ず結果には近づいている」。

多様な国籍・年齢・性別の仲間を迎え入れながら、社是である「誠実・協調・向上」の精神を軸に据え、全員が互いのために働く組織へと進化を続けること。 それが80年間変わらず受け継がれてきた当社の姿であり、これからも変わることのない姿である。

創業80周年は、ゴールではなく通過点である。 次の10年、そしてその先の創業100周年に向けて、OGUSUグループは変革の時代を力強く越え、全員一丸となって前へ進み続ける。

株式会社 小楠金属工業所
80年の歩み

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  • 昭和21年~28年 ミシンの中釜から本格稼働。黎明期の小楠金属工業所。
  • 昭和29年~40年 モータリゼーションの発展にのり急激な拡大を見せる成長期のはじまり。
  • 昭和41年~50年 経営の優良性と進取の精神に裏打ちされ、引き続く成長のベクトル。
  • 昭和51年~60年 低成長期から景気の上り坂へ。社是・社訓を拠りどころに変化の時代に対応。
  • 昭和61年~平成8年 創業の精神に新たな意味を付け加え、21世紀へのさらなる飛躍を願う。
  • 平成8年~17年 いざなみ景気に後押しされた平成の成長期。将来を見据えた設備投資と新たな挑戦。
  • 平成18年~27年 篠原町から世界へ。小楠金属工業所は新たな飛躍のステージへ。
  • 平成28年~現在 変革の時代を越えて OGUSU 100年企業への飛躍。

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